前回までで職長になるための資格は揃いました!
ここからは筆者の経験を元に、職長ってどんなことするの?といった内容に触れていこうと思います。
私自身特にズバ抜けたスキルがあるわけではないのですが、素敵な仲間たちに囲まれ、協力しながら一つのものを作り上げる達成感は本当に感動します。
ここでは一番記憶に残っている、二年間やった大型現場でのお話です。
職長就任!
いよいよ職長として現場に出ていきます。
幅広い年代の人、気性の荒い人、それぞれの能力や体力もまちまちです。
ものすごくいろんな人がいて、鳶としての勉強はもちろん、これから生きていくうえでも非常に貴重な時間になります。
朝礼までにやる事
職長は毎朝必ずやることがあります。
みんなと顔を合わせ会話をする中で、体調悪そうな人がいないかチェックするのですが、この時意外と多いのが二日酔いをしている人です。
暑い時期は特にこういった人は熱中症にかかりやすくなるので注意が必要です。
そしてもう一つはリスクアセスメントと呼ばれる危険性を洗い出すKYシート(危険予知シート)です。
前回も書きましたが、下記のような内容を3~5項目ほどその日の作業に合わせて書きます。
作業手順 | 急所 | 危険性 |
---|---|---|
資材楊重する時 | 荷ぶれを起こし | 吊り荷に挟まれる |
危険性の低減策 |
---|
玉掛け作業は、3・3・3・運動の徹底! |
はじめは何を書けばいいかわからないかもしれませんが、毎日書いていると自然に身についてきます。
また新規入場者がいる場合は血圧を測り、書類等の記入を済ませ、速やかに新規入場者教育を受けられる用意をします。
ここで驚くのは高血圧の人がかなり多いです。
(血圧が150を超える人には高所作業をさせません)
朝礼
全体朝礼では作業人員の発表と危険作業に対する全業者への周知をします。
(前日の打ち合わせで職長間では連絡がいっています)
その後先ほど書いたKYシートを元に配下の作業員を集め、作業の流れと作業員の配置を指示していきます。
そこから作業開始となります。
作業開始
それでは作業開始です。
それぞれが自分の持ち場に行き、作業を進めるのですが、その姿は本当に頼もしいです。
性格も様々で、年が離れていたりといろんな人たちがいますが、みんなで協力していい雰囲気だ。
ここでは安全帯の使用状況の監視、次の作業に向けて材料の注文票を作ったり、不具合があった際の対応や作業変更の指示も出していきます。
職長会がある日は、職長パトロールと呼ばれる現場内循環を職長で集まり行います。
打ち合わせ
大体11時半くらいから打ち合わせに行きます。
ここでは明日の作業内容の打ち合わせを進めていくことになります。
- 搬入車両が何時に何台入るか?
- クレーンの使用時間は何時から何時までか?
- どの業者がどこでどんな作業をするのか?
こういった話をして翌日の作業の調整を進めていくことになります。
その後は昼休憩となり、ご飯を食べます。
またこの時間で、かかる日数と必要な人員を逆算し、何か変更があれば会社に連絡をして増員の要請などしていました。
午後の作業
午前中に引き続きあと半日です。
打ち合わせで指摘事項や急ぎの仕事があれば、状況に応じて作業変更の指示を出し何人か別作業に行ってもらうこともありがちな時間です。
そして午後になると少し手が空いてくるので、自分自身でも是正箇所の整備や組立てに参加することも多くなります。
あまり率先してやりすぎるとその他の対応ができなくなるので、いつでも抜けられるポジションでの作業です。
時間と作業のキリがいいところを見ながら終了の合図を出し、片づけ作業をして「本日の作業は終了!」となります。
各協力会社の伝票にサインをして、その後は各自の有意義な時間となってもらえればと思います。
「お疲れ様でした!」
作業終了後の作業
みんなは先に返しても、職長はこの後個別での打ち合わせがあったりなんてこともあります。
「この日どうしてもこの作業を終わらせないといけないんですけど、少し入らせてもらえませんか?」なんて話もちょくちょく出てきたり、、、
そういったことを踏まえながら、作業の調整や変更を監督や他業者と行ったりです。
まれに図面を書く時もあり、作業後にカフェで一人その作業をしたときは「こんな時間まで何してんだろう、、、」と感じました(笑)
まとめ
今回は私の経験を踏まえた体験談となりました。
最終的には人対人の付き合いであるため、職長の考え方ひとつで良くも悪くもするものと考えます。
人手不足もあり苦戦する場面も多いですが、極力「相手の目線で理解することに努め、できることは協力するよ」といったスタンスで努めた結果、最終的にどの業者も協力的でとてもやりやすい現場になりました。
また作業場所から離れることも多くなるので、同じチームで安心して任せられる信頼関係も大切になります。
高齢化の進む建設業界で、若い職長はなめられがちです。
監督や他業者も時にめちゃくちゃな要求をしてくることがあり、かなり個人的な意見ですが、仲間を守るためにもハッタリをかまして黙らせることも時には必要になるかと思います。
番外編
鳶は危険作業が多いため、作業直下や周辺は立ち入り禁止措置をとることが多いです。
「立ち入り禁止をしてから作業に入るように!」そんな指示を出すのですが、みんながむしゃらにやってくれるため、意外と忘れがちなんですよねー。
「ちゃんと立禁してからやってくれ!」そんなやり取りしつつも、所長に見つかって後でこっぴどく怒られるのも職長の仕事かなと思います。
作業員が見落としがちな細かい部分の是正と、忙しくても極力一日に一回は足場を点検して周れることが理想的かなと思います。